材料に割れやしわが発生しない金属プレスの加工プロセスを実現するために、絞り工程における成形形状(ダイフェース)や製品形状を十分に注意して設定することが要求されます。これらの不具合の発生を実際の金型作製を開始する前に予測して対策を立てるためのツールとして、プレス成型シミュレーションが用いられます。図1はオイルパンの設計の際に、2通りの形状に対する絞り工程のプレス成形シミュレーションを行い、計算された板厚減少率分布に基づいて割れの危険性を検討した例です。ダイ肩Rの小さい(R5)形状(左)では、過度の板厚減少部位があり、割れの発生が予測されたが、ダイ肩RをR10に変更したところ(右)、板厚減少が抑制され、割れの発生を防止できていることを確認しました。
図1 オイルパンの金属プレス成形シミュレーション結果
プレス成型シミュレーション