「湯口の向きと寸法を変えることで、部品1個あたりの製造時間を大幅に短縮できました。部品性能について意見を交わすことで、当社が提供できるエンジニアリングの価値も格段に上がります」
Wisconsin Precision Casting社
Vice President of Engineering
Claude Klemowits氏
solidThinkingを設計および鋳造プロセスで活用
最終目標は、部品の強度と総合的な性能を落とさずに軽量化を成し遂げることでした。その点を考慮し、3段階で設計を見直しました。第1段階では、顧客からの設計データを元に、WPC社が迅速に鋳込み時の無駄を見極めました。湯口の数を減らし、スプルーに対して鋳型の向きを変えることで、ワックスツリー1つ当たりの製造数を増やしたのです。この変更により、型ばらしにかかる時間が減り、部品あたりの全体的なコストを削減できました。しかし、ケーシングの大幅な設計修正なくしては、この変更をスムーズに行うことはできません。
そこで第2段階では、ポンプケーシングの構造最適化に重点を置いて設計を修正しました。solidThinkingInspireを用いて鋳造時の荷重と重要なフィーチャーを特定し、既存の設計の基本解析を実施しました。その後、Inspireでポンプケーシングを最適化した結果、8%の質量削減と強度向上に成功したのです。最適化プロセスでは、鋳造関連の数値(引け巣、凝固時間など)も検証しました。
solidThinking Senior Application EngineerのDave Roccaforteは次のように説明します。「構造最適化スタディのセットアップでは、設計チームは製品設計を俯瞰的に検討することを求められました。それぞれのフィーチャーの重要性を見極めたうえで、機能と運用の両面から残すべきフィーチャーを取捨選択し、足りないフィーチャーを考える必要があります。また、設計が耐えなければならない荷重や、製造時の鋳型内の部品の向きも検討からは外せません。Inspireではこうしたパラメータを考慮できるので、最適化プロセスでは設計担当から製造担当までの全関係者の意見を聞きました」。
最終段階では、Inspireを用いてポンプケーシングの形状を見直し、最適化後の形状をPolyNURBでラップしました。設計を修正してからClick2Castで鋳造解析を行い、鋳型とスプルーツリーの設計が鋳込みに適しているか検証しました。この段階で、型ばらしの時間をさらに短縮するために湯口の幅を狭め、最終的な湯流れ・凝固解析を実行しました。プロトタイプの完成後、WPC社は3Dプリントしたワックス原型から鋳型を作成しました。