主な解析の種類
固有値解析
固有値解析は、ノーマルモード解析、または実固有値解析とも呼ばれ、構造物が示す共振周波数とそれに伴う振動形状(「どのぐらいの周波数で」「どんな形で振動するか」)を計算するテクニックです。この共振周波数で繰り返し荷重を受けた際、構造物が共振状態となり期待した性能を発揮できなくなる場合や、時にはそのまま破壊に至る場合もあるため、これらの周波数を事前に知ることが重要です。また、共振状態を引き起こす点に荷重が作用されないことを確認するためにその振動の形状を知ることも重要です。
固有値解析では以下の固有値問題を解くことで、固有値ω2(ωは固有振動数)と固有ベクトル{ϕ}を求めます。なお、Kは対象の剛性マトリクス、Mは質量マトリクスで、減衰マトリクスCは無視されます。
なお、固有値解析では振動・騒音の応答の絶対量は計算できないため、それらを計算する場合は以下に示す周波数応答解析や過渡応答が必要になります。
周波数応答解析
周波数応答解析を使用すると、定常状態の振動荷重に対する構造の応答を計算できます。一般的な用途は、自動車、回転機械、トランスミッション、パワートレインシステムから発生する騒音振動の解析です。なお、得られる結果は周波数応答関数(Frequency Response Function : FRF)と呼ばれ、加速度、速度、変位、音圧などが評価に用いられます。
周波数応答解析では以下の基礎式を解き、振動数ωの加振力{f}に対する、応答{u}を求めます。
過渡応答解析
過渡応答解析を使用すると、時間依存の荷重に関する構造の時刻暦応答を計算できます。典型的な応用例としては、地震、風、爆発を受ける構造物、または窪みを通過する車両が挙げられます。
過渡応答解析では以下の基礎式を解き、過渡的な加振力{f(t)}に対する、時間依存の応答{u(t)}を求めます。
複素固有値解析
実固有値解析と異なり、複素固有値解析では構造の複素モードが計算されます。複素固有値解析は通常、特別な物理挙動のために引き起こされる構造の不安定性を評価するために用いられます。例えば、摩擦に起因するブレーキシステムの「鳴き」の評価や、回転するコンポーネントを持つ構造物の固有値および危険速度の予測などにも活用できます。
流体騒音解析
自動車のドアミラーや新幹線のパンタグラフなど、流体の圧力変動の伝播により発生する騒音を流体騒音と呼びます。なお、流体騒音解析には、流れ場と音響場を別々に計算する分離解法と、Navier-stokes方程式により流れ場と音響場を同時に計算する直接解法の二つがあります。 >> 音響解析について