Altair、EDEM 2020をリリース
粉粒体挙動解析のワークフローとスピードを改善
ミシガン州トロイ - 2019年11月28日 – 製品開発、ハイパフォーマンスコンピューティング、データインテリジェンスに関するテクノロジーをグローバルに提供する
Altair(Nasdaq: ALTR)は、最先端の離散要素法(Discrete Element Method: DEM)を用いた粉粒体挙動解析のためのソフトウェア、Altair EDEM 2020をリリースしました。
EDEMは、鉱業、機器製造業およびプロセス産業において、バルク材料のハンドリングや処理を行う機器の仮想試験に使われており、世界中の企業における機器設計の最適化、生産性の向上、業務コストの削減、製品開発サイクルの短縮、製品イノベーションの加速に貢献しています。
Altairが先日買収したDEM Solutions社のEDEM 2020には、シミュレーションのセットアップを短縮および簡易化できる新しいツールのほか、マルチボディダイナミクスソフトウェアである
Altair MotionSolve™やオープンソースの数値流体力学(CFD)ソフトウェアであるOpenFOAMとの連成解析を可能にする機能も新たに追加され、ワークフローの高速化を実現します。
AltairのProduct Manager for EDEMのMark Cookは、「お客様のシミュレーション業務を劇的に短くするため、開発チームではスピードを重要課題に掲げ、毎回のリリースでGPUテクノロジーに対応したEDEM機能の実装に重点的に取り組んできました。EDEM 2020ではシミュレーションセットアップ機能が強化されただけでなく、柔軟な繊維モデルをシミュレーションできるMeta-Particles(メタ粒子)や高度なジオメトリーの動きのためのMotion Control(運動制御)など、高度な機能が追加されています。さらに、球体粒子フィッティングなどの新しいツールもEDEMに標準搭載されるようになりました」と述べています。
EDEM 2020の主な特長は以下のとおりです。
新しい球体粒子フィッティングツール
EDEMでは、高精度が保証された計算効率の高い複数球近似法を利用して、あらゆる大きさや形状の材料をシミュレーションすることが可能です。これは多数の球を重ねることで形状を表現する手法で、重ねる球の数を増やすことでモデル形状の正確さを向上させることができます。新しい球体粒子フィッティングツールなら、表現したい形状を作成する際に、従来のように球を手動で配置する必要がありません。CADファイルからインポートした粒子形状に非常に近い複数球粒子が、ツールによって自動的に構築されます。ユーザーは、使用する球の数や球の大きさの下限を設定できます。新しいツールでは、わざわざ粒子形状を手作業で構築することなく、効率的な多球近似法シミュレーションを実行できます。
メタ粒子の作成
産業界のアプリケーションでは、柔軟な材料や細長い材料(繊維、農作物、草など)を扱うケースが多く見られます。EDEM Creatorに新機能Meta Particlesが導入されたことで、結合粒子モデルを簡単に作成して柔軟繊維を構築できるようになりました。構築に使用するのは、新たにMeta Particlesに対応したBonded Modelです。Meta ParticlesはGPUにも完全に対応しています。この新機能により、柔軟な粒子のシミュレーションのセットアップにかかる時間と手間が大幅に削減されるだけでなく、ユーザーの熟練度を問わず容易に柔軟な材料を作成できるようになります。
材料ブロックのダイナミックファクトリー
EDEMの過去のバージョンで追加されたBed Generation Tool(別名Material Block)では、材料の小ブロックをコピーして並べることで、大きな材料ベッドを素早く簡単に生成することができました。EDEM 2020ではこのツールに“ダイナミックファクトリー”機能が追加され、シミュレーション中に同じ材料ブロックを一定の時間間隔で自動的に投入できるようになりました。この機能は、同量の材料が次々に搬送されるオーガスクリュー、ベルトコンベアー、ベーラーなどに適しています。シミュレーションを繰り返すことなく、あるシミュレーションの出力結果を別のシミュレーションの入力として使用することで、大幅に作業時間を短縮できる強力な機能です。
運動制御
新たに追加されたMotion Control機能により、力やトルクが作用することで生じる形状の運動を簡単に再現できるようになりました。以前はEDEMのカップリング(連成)インターフェースでしか利用できませんでしたが、力とトルクをEDEM Creatorから直接追加したり、運動学解析と組み合わせて利用したりできるようになりました。これにより、実機の運動を再現するための多種多様な形状移動を簡単に定義できる強力な環境が整いました。
パフォーマンスの向上
ソルバーについては、EDEM 2020でさらに計算速度が向上しました。ベンチマークテストでは、CPUのみの場合と比べてGPU使用時の方が圧倒的に計算が速いという結果が出ています。たとえば、標準的なサンプルをハイエンドのGPUカードで計算した結果、12並列のCPUよりも15倍速く計算が完了しました。GPUソルバーはAPIモデルと互換性があり、EDEMカップリング(連成)インターフェースを使用することにより、シミュレーションの複雑さにかかわらず、すべてのユーザーが計算速度の向上を達成できます。GPU使用時のベンチマークについては、
カスタマーエリアでご確認ください(ログインが必要です)。
ポストプロセス – EDEMpy 0.1.2
EDEMpyは、EDEMシミュレーションデータのポストプロセスや分析を行うためのPythonライブラリです。これを利用すれば、簡単にシミュレーションデックおよびプロセスから特定のデータを抽出し、カスタマイズや再利用可能な形でそのデータを処理することができます。最新バージョンでは、この機能が様々な面で強化されました。ボックス内やシリンダービン内のオブジェクトを検索できる新しいビンニング(Binning)機能や、球の位置や半径データの新しい取得方法が追加されたほか、接触や結合のデータを取得する際のパフォーマンスも向上しました。
新たにEDEM-MotionSolve連成が追加
重機の設計を担当するエンジニアは、EDEMをマルチボディダイナミクス(MBD)ソフトウェアと連成することで、MBDシミュレーションにリアルなバルク材料を追加したり、機器と材料の相互作用を観察したりすることができます。最新のEDEMでは、多様なMBDソフトウェアとの連成に加えて、新たにAltair MotionSolveとの連成が可能になりました。
EDEM-Fluent連成が強化
多様な粒子-流体系の正確なシミュレーションを可能にするEDEM-Fluent連成で、新たに化学種データの転送ができるようになりました。この機能を利用すると、蒸発などの複雑な熱化学反応のシミュレーションが可能です。今後のアップデートでは燃焼にも対応する予定で、蒸発や燃焼などのモデリングに依存した処理を含むシミュレーションなど、応用可能な分野が一気に広がります。蒸発シミュレーションの詳細については、Astec社の
A・ホッブズ氏によるブログ記事をご覧ください。
新たにEDEM-OpenFOAM連成が追加
DEM-CFDシミュレーションを求めるユーザー様のために、Fluentに加えて、オープンソースソフトウェアであるOpenFOAMとも連成できるようになりました。一般的にDEM-CFD連成では、流体メッシュセルよりも粒子の体積を小さくする必要がありますが、EDEM-OpenFOAM連成ならその制約に縛られることがありません。これにより、従来は応用できなかったタイプの現象もシミュレーションすることが可能になります。EDEM-OpenFOAM連成の詳細については、
こちらの投稿をご覧ください。
EDEM 2020の機能強化一覧は、
こちらのリリースノートでご覧いただけます(ログインが必要です)。EDEMを初めて使用する方へ、当社のeラーニングポータルに無料のビデオコース「
EDEMの概要(英語)」をご用意しています。ぜひご覧ください。
Altairについて(Nasdaq:ALTR)
Altairは、製品開発、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、およびデータイアナリティクスの分野において、ソフトウェアやクラウドソリューションを提供するグローバル企業です。多種多様な業界におけるお客様が、持続可能な未来を創造しコネクティッドな世界において力を発揮するためのテクノロジーを提供します。詳細については、
www.altairjp.co.jpをご覧ください。