東京大学情報基盤センターがスーパーコンピュータシステムに商用CAEソルバーとして初めてAltair HyperWorksを導入
GPUコンピューティングや15,000コア以上のCPU並列計算環境を提供
東京大学情報基盤センター(東京都文京区、センター長:田浦 健次朗、以下、情報基盤センター)は、2019年1月にアルテアエンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:綾目 正朋)の解析ソルバー
Altair HyperWorks(以下、HyperWorks)を導入しました。情報基盤センターとしては、商用のCAEソルバーの導入は初めてです。
情報基盤センターでは、Oakforest-PACS、Reedbushの2つのスーパーコンピュータシステムを運用しています。今回はその内のReedbushシステムにHyperWorksが導入されました。ReedbushシステムはCPUのみを搭載したReedbush-Uサブシステム(総理論演算性能508.03TFlops、420ノード、合計15,120コア)、CPUに加え演算アクセラレーターとしてGPUをノードあたり2基搭載したReedbush-Hサブシステム(総理論演算性能 1.418 PFlops、120ノード、合計240 GPU)とノードあたり4基搭載したReedbush-Lサブシステム(総理論演算性能 1.434 PFlops、64ノード、合計256 GPU)から構成されています。GPUはNVIDIA製Tesla P100 (Pascal)、ノード内のGPU間は20 GB/sec の高速なNVLink を用いて接続されています。
今回導入されたHyperWorksは、熱流体解析、構造解析、衝撃解析、電磁場解析と高周波電磁場解析の並列計算ソルバー、およびそれらの連成解析とパラメータスタディが可能なアプリケーションです。1980年代から開発を重ね、各ソルバーは並列化計算においてリニアな性能を実現しています。また、並列化すればするほどコストメリットを発揮するライセンスシステムを採用しており、大規模計算を必要とする昨今の解析需要に最適なソリューションです。
また、GPUで高速に解析するように開発された2つの流体ソルバーも導入されています。ultraFluidXは商用の格子ボルツマン法の流体解析ソルバーで、GPUで計算するように開発されたCFDソルバーのひとつです。今まで大規模なスーパーコンピューターでさえ数日かかっていたような計算を、並列GPUコンピュータ上で稼働するultraFluidXは、数時間で完了させます。ultraFluidXは高速なGPUで計算するので短時間で計算が完了し、CPUコンピューティングに比べ消費電力が少なく、これからのエココンピューティングの主役となり得るCFDソルバーです。
情報基盤センターでは、全国共同利用・共同研究拠点として、東京大学に限らず広く他大学や国公立研究機関のユーザーに対して有償・無償でReedbushの計算リソースを提供しているだけでなく、社会貢献の一環として、企業に対しても有償でReedbushの計算リソースを提供しています。この制度では、単なる企業の計算需要の肩代りを行うのではなく、大規模高性能並列計算を必要とする企業や今まで計算シミュレーションを活用してこなかった企業に対して支援を行っています。
今回、HyperWorksの解析ソルバーをReedbushに導入したことで、東京大学に限らず、大学所属のReedbushユーザーであれば、すぐに大規模並列ソルバーをお使いいただけます。HyperWorks付属のプリ・ポストに関しては、Reedbushへのアカウントがあれば、手元のPCから利用可能です。また、大学以外の研究機関や企業のユーザーであれば、HyperWorksのライセンスを情報基盤センターに持ち込むことによって、すぐにでも大規模並列計算を始められる環境になりました。ご興味をお持ちの方は、情報基盤センターの企業利用説明会にもご参加ください。
東京大学情報基盤センター スーパーコンピューティング部門長 中島教授のコメント
「当センターは東京大学大型計算機センター時代から50年余り、Gaussianなどの特殊な例を除くと、インハウスコード、オープンソースコードのみを想定した運用を実施してきました。HyperWorksのマルチフィジックスに対応した多様な機能と実績、大規模並列計算に適したライセンスシステムを知り、導入を決断しました。大学のみならず研究機関・企業の方にも使用していただけることを期待しています。」
アルテアエンジニアリング 代表取締役社長 綾目のコメント
「アルテアはこれまで学生や教員、研究者への技術支援やライセンス提供などを長年行っていました。今回、ReedbushにHyperWorksが搭載されることで、より多くの方に大規模計算の利用の門戸が開かれること、それが学術機関を中心に発信されることを大変嬉しく思います。」
Altairについて(Nasdaq:ALTR)
Altairは、製品ライフサイクル全体にわたって、シミュレーション、マシンラーニング、および最適化を適用することで、設計と意思決定に変革をもたらします。Altairの幅広いシミュレーション技術と特許取得済みのユニットベースのソフトウェアライセンスモデルは、シミュレーション主導のイノベーションを実現します。2,000人以上の従業員を擁するAltairは、米国ミシガン州トロイに本社を置き、25か国に82のオフィスを構えています。顧客は多種多様な業種にわたり、その数は5000社以上にも及んでいます。詳細については、
www.altairjp.co.jpをご覧ください。