「Altairの支援により、開発の初期段階で意欲的な目標設定をしつつ、実際の製造における時間とリソースの制約に対処しながら最適化を適用することで、当社は最適化の効果を大きく高めることができました」
Dr. Anthony Hähnel
Powertrain NVH CAE Team Leader
Renault
Grand Challenge最適化プロジェクト
パワートレインの性能に最適化技術が及ぼす潜在的な影響をデモンストレーションするために、AltairおよびRenaultは、シミュレーションGrand Challengeを実施することに同意しました。このようなユニークなプロジェクトにおいて、Altairはエンジニアリング上のチャレンジを明確にした上で、革新的なソリューションを素早く開発するために、新しい設計手法およびプロセスを使用しています。Renaultにとってのチャレンジは、幅広い性能基準を満たしつつ、パワートレインモデルの構築を加速化し、複数のパワートレインコンポーネントに最適化技術を導入するためのプロセスを開発することにありました。Renaultはこの時期に、新しいパワートレインの開発に着手しており、開発プロセスの初期段階で最適化技術を活用した場合に、重量、性能、製造可能性にどのような影響を及ぼすかを確認するためにも、このプロジェクトは最高のタイミングで行われました。
このプロジェクトでは、パワートレインアセンブリ全体の騒音、振動、ハーシュネス(NVH)面での性能、エンジンの軸受の疲労性能という2つの主要な領域に焦点が当てられました。多様な耐久性およびNVH荷重ケース(図1、2)が、
HyperWorksの最適化ソリューションOptiStructを使用して実行されました。
OptiStructはこのような大規模モデルの処理に優れており、ボルト張力、ガスケット、高度の非線形材料および接触を含む、複雑な物理現象のシミュレーションが実行できます。
プロセスの最初のステップとして、設計空間を設計し、また、後で最適化プロセスのための設計の考慮事項として使用できる、壁の厚さやリブ高さなどのパラメトリック設計変数を特定することにより、CAD環境内でモデルがパラメータ化されました。
Altairの
SimLab有限要素モデリング環境は、コンセプトCADモデルに基づくこれらの複雑な構造の構築を自動化するために導入されました。SimLabは、カスタムメッシング、境界条件および接触テンプレートを使用してモデルの厳密な品質基準を維持しながら、Renaultの標準的なアプローチと比較して、モデル構築プロセスの生産性を60%も向上しました。このプロセスを自動化することで、モデル形状の今後の変更すべてについて再メッシングが可能となり、わずか数分以内で最適化と解析の準備が整います。NVH、耐久性能、重量目標、製造性の最適なバランスを実現するために、HyperWorksの
HyperStudy(図3)を使用して、実験計画法(DOE)のプロセスが実施されました。このプロセスは自動的に複数の設計変数を検討し、全体的な性能および重量の目標を満たすことができる、設計のバリエーションを素早く特定しました。
構造のNVH性能をさらに改善するために、パワートレインアセンブリ(図4)外側のリブ配置のためのトポロジー最適化にOptiStructが併せて適用されました。モデル内の設計空間領域を特定し、既知の荷重および制約条件を適用することにより、OptiStructは、NVH目標の達成要件外となったあらゆる材料を削除して、リブ配置の理想的な材料レイアウトを提案することができました。