「操作性が良く、解析精度が高いAltair HyperWorks を用いた開発は快適でした。軽量設計プロセスの随所でAltair のソフトウェアツールを使用しました」
Patrick Schürmann
Project Engineer for optimization and design
APWorks
HyperWorksを用いたシミュレーション主導設計
APWorks 社は2013 年からAltair HyperWorks を開発の標準パッケージとして使用していますが、今回のフレーム設計プロジェクトでもHyperWorksのさまざまなシミュレーションツールを活用しました。
APWorks 社の最適化・設計担当プロジェクトエンジニアであり、数か月前からLight Rider の技術開発サポートのプロジェクトエンジニアも兼任しているPatrick Schürmann 氏は、次のように説明します。「当社の開発プロセスでは、普段からHyperMesh でモデリングし、OptiStruct で有限要素解析とトポロジー最適化を実行し、HyperViewでポストプロセスをしています。Light Rider のバイクフレームの設計修正とスタイリング作業では、今回は他社製のCAD システムを使用しましたが、将来的にはこうした開発作業も、solidThinking のコンセプト設計ツールであるEvolve を使って行うことで、シミュレーション主導設計プロセスの全体をAltair 製品ファミリーでカバーしたいと考えています」
最適化によって3D プリントの要件を満たす
Light Rider のようなプロジェクトでは、3D プリント可能な最適形状を設計するために、3つの難題をクリアしなければなりません。
- 様々な制約条件の下で最適形状案を生成する: これはトポロジー最適化が得意とする作業です。
- 最適形状案を基に詳細形状データを作成する: 従来のCAD ツールではなくEvolve やAltair Inspire などのダイレクトモデリングツールを使えば、より迅速により高品質の形状を作成できます。
- 積層造形特有の製造制約条件を考慮して形状を修正する: これは最適化の範囲外の作業です。
最適化の準備
Light Rider のフレームなどのように、総合的な最適化が必要なコンポーネントの場合は、様々な荷重条件や機能上の制約条件を考慮して設計パラメータを定義しなければなりません。たとえばバイクの総合的な乗りやすさを左右する、ホイールベースの長さ、ハンドルバー、フットレスト、シートの幾何学的な位置などです。そしてバイクフレームの外形寸法に合わせた大きな設計空間を設定します。こうした情報を最適化ソフトウェアに入力することで、荷重条件やコンポーネントの結合条件を考慮したモデルが生成されます。
最適化ソフトウェアによって、最適な荷重経路が特定され、どこにどのくらいの材料を使用すべきかを詳細に示した結果が導き出されます。この最適化時に考慮すべきバイクの荷重ケースは、データシート(タイヤの垂直抗力、摩擦など)から生成されます。バイクの場合は、ハンドルバーやフットレストといった複数の箇所で引張荷重や押し荷重が発生し、それが結果的にフレームへと伝わります。
さらに設計時には、バイクの最終的な組立工程も考慮する必要がありました。そこで、穴あけが必要な箇所やマウント位置などの境界条件を考慮しました。3D プリントしたものに細かな加工を加えることなくそのまま組み立てられるよう、エンジニアたちは計画段階で、ボルト締結作業性を考慮しました。
OptiStruct とInspire を用いたトポロジー最適化
トポロジー最適化は、シミュレーションや設計作業で大いに活躍します。トポロジー最適化では、最大設計空間を定義し、荷重などの境界条件を設定してから、最適化目標を定義します。