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機械学習の実践

 

Altair Knowledge Studioで機械学習を実践する

データの中には、組織として獲得し蓄積してきた経験が眠っています。金融サービス企業は、Knowledge Studioのような予測分析・機械学習プラットフォームを利用することで、収集したデータから学びを得、それに基づいて個々の消費者やひとつひとつの取引といった細かいレベルで、効果的に業務を遂行するための判断を下せるようになります。 予測分析・機械学習ソリューションは、たとえば次のような目的に活用できます。

  1. 不正が疑われる金融取引を予測する。または、融資申込者や債権者それぞれのリスクレベルの良し悪しを予測し、信用リスクを管理する。
  2. 新しい金融商品またはサービスを購入する見込みのある顧客やクレジット債務の返済に応じそうな顧客を予測し、それに基づいてターゲットを定めキャンペーンを実施する。

大量のデータを分析するには、分析ワークフローに次々と流れてくるデータを処理し、積極的かつ継続的に学習できるアルゴリズムが必要です。柔軟性に優れたKnowledge Studioなら、データサイエンスチームは複雑なコードを書くことなく、機械学習とニューラルネットワークアルゴリズムを組み込んだ予測分析ワークフローを構築することができます。Knowledge Studioは世界中の金融サービス企業に導入されており、リスクや収益、市場シェアに関わる複雑な業務課題の解決に貢献しています。

債権回収の傾向スコア

傾向モデリングとは、データサイエンスにおいて消費者が特定の行動を取る確率(たとえば新しい金融商品やサービスを購入する傾向や、クレジット債務の残高を返済する傾向)を予測するために用いられる、統計的アプローチおよびテクニックのことです。簡単に言えば、収入帯や年齢層などの共通の特徴を持つ消費者グループごとに異なる確率を割り当て、将来の行動予測の正確性を担保する手法です。金融系の企業は、多次元データとの相性がよい予測分析を利用し、傾向スコアモデリングを作成することで、独自のキャンペーンに対する消費者の反応をより正確に把握することができます。

従来の予測モデリング手法では結果の確率を求めることしかできませんが、これを最適化することにより、分析業務を処方的分析へと進化させることができます。債権回収に関する目的関数を最大化または最小化する決定を分析結果に自動的に組み込むことで、カード保有者をあらかじめ様々なプロファイルにセグメント化し、得点化した予測分析モデルを構築できます。最適化により、負債残高の返済傾向がある消費者をより正確に把握することができます。このように消費者のターゲットを見極めたうえでキャンペーンを展開すれば、債権回収率を向上できることは実証されています。

信用リスクの軽減

多くの金融企業が、申請者に信用を供与して収益を最大化することと、申請者の債務不履行の確率を最小化することの両立に苦労しています。いくら収益の最大化を目指そうとしても、リスクの最小化のために限度額増額キャンペーンを抑制してしまえば、往々にして大きな収益機会を逃すことになりかねません。

数十万個のデータポイントのプロファイリング結果に基づいて限度額の増額幅を考える場合、その組み合わせは膨大な数に上り、スプレッドシートなどの従来のツールでは太刀打ちできません。Altairのソリューションを使えば、キャンペーンの適正予算を決めるデータサイエンスモデルを構築して収益の最大化を目指したり、限度額の増額申請につながりそうなコミュニケーション配信チャネル(電子メール、コールセンター、ダイレクトメールなど)を予測したり、あるいは限度額の増額を受け入れた場合にリスクが生じそうな申請者を見極めたりすることも可能になります。

 

マーケティング分析

マーケティングキャンペーンを効果的に展開するには、複数の商品と多様なコミュニケーションチャネルを組み合わせるので複雑になります。キャンペーンに対する顧客の反応傾向を予測することは、マーケティングを実施するうえでよくある課題です。キャンペーンによって顧客のロイヤルティを高めるにせよ、新規顧客獲得を目指すにせよ、顧客の行動を予測するには、互いにまったく関連がないような多様なデータセットを使用するのが普通です。たとえば、過去のキャンペーンへの顧客の反応に関するヒストリカルデータ、顧客の属性データ、財務データ(最近の取引記録やクレジットスコア)などです。

 

Altairのソリューションは、顧客セグメントごとの限定キャンペーンへの申し込み傾向の予測精度を高めるのに役立つほか、キャンペーンの支出額やチャネルをどのように組み合わせればマーケティング戦略による収益を最大化できるかを見極める場合にも便利です。あるいは、データを時系列に可視化したマーケティングダッシュボードを作成して、キャンペーンの成果を解釈することにより、経営幹部に対してマーケティング支出のROIを説明することもできます。

 

予知保全

製造設備の稼働停止に伴う損失は、それが計画的なものかどうかにかかわらず、ときに莫大な額に上り、年間数億円に達することさえあります。予定外の稼働停止となれば、有形無形の稼働コストを大きく押し上げることになりかねません。メーカー各社の間では、こうした稼働停止によるリスクを軽減するために、設備の保守計画を策定し、必要性を検討せずに設備の保守点検を行うことが多く、そのために余計な間接費が生じています。

 

昨今では、テクノロジーの進歩によって、設備の稼働状況に関するリアルタイムデータを収集できるようになりました。このデータにこそ、将来の設備故障を示唆する徴候が隠れています。予測分析ソリューションを利用すれば、こうした潜在的な情報を明らかにし、故障リスクが高まったタイミングで保守を行うことができます。これにより、予期せぬ稼働停止による損失や事故を防ぎ、修理や保守を行う人員とリソースのスケジュールを効率化することができるのです。

 

AltairのData Analytics Predictive Maintenance(PdM: 予防保全)モデルは、計画外の設備停止に伴う多大な損失の回避、計画的な保守スケジュールの最適化、修理サイクルの効率化と低コスト化を実現しています。

 

店頭小売分析

昨今の消費者は、オンラインショップをフルに活用し、商品のラインナップ、価格設定、購入オプションを比較検討したうえで商品を購入しています。実店舗に足を運んでも、そこでは実物を確認するだけで、購入はオンラインで、ということも珍しくありません。消費者にはありがたい購買環境ですが、小売店にとってみれば在庫過剰、営業費用の増加、顧客離れを招く元凶です。

 

この苦境に対処するために、日々のデータの活用を図る小売店が増えています。たとえば、Webサイト、POSシステム、サプライチェーンシステム、会員カード、店舗内センサーなどから得られるデータです。Altair Data Analyticsでは、消費者のセグメンテーションとプロファイリングを行って様々な商品マーケティングキャンペーンへの反応傾向を把握できるほか、店舗内の行動を追跡し、商品の配置、購入特典、あるいは衝動買いを喚起するサービスへの消費者の反応を詳細に理解することができます。

 

Altair Knowledge Studioでは、消費者の行動や市場の動向に関する知見を獲得し、市場シェアの拡大、顧客ロイヤルティの向上、商品やサービスの効率的な流通につなげることができます。