Mabe

Mabe社の、複合領域的アプローチによる 洗濯機の継続的な性能向上

背景

1946年に設立されたMabe社は、メキシコに本社を置く国際的な家電製品メーカーです。洗濯機、ドライヤー、調理用コンロ、冷蔵庫、空調機器、電子レンジなどの多様な家電製品の設計、製造、流通を手がけています。Mabe社のSenior EngineerのMartin Ortega博士によれば、同社は製品の性能向上と開発の加速を目指して、2006年以降Altairテクノロジーの使用範囲を年々拡大させてきました。

継続的な性能向上を可能にする複合領域的アプローチ

Altairテクノロジーの活用により、Mabe社は洗濯機の容量を35%、回転数を24%増加させるとともに、1立方フィートあたりのコストを10%削減することに成功しました。さらに、電力消費量を24%、使用水量を52%削減したほか、製品開発サイクル時間を25%短縮しました。性能向上、コスト削減、新設計の製品化期間短縮の並立という難しい目標を達成したことで、Mabe社は家電市場における競争力を大幅に強化できました。

Mabe社はシミュレーションをいち早く取り入れ、過去10年間、段階的かつ継続的に製品性能の向上に取り組んできました。2006年にまず導入したのは構造解析です。Altair OptiStruct™を用いて、高い品質を維持したまま、コスト削減を目的とした軽量化を達成しました。次にAltair Radioss™を導入して衝撃・落下試験シミュレーションを実施し、輸送中の損傷リスクや損傷に伴うコストを抑えることに成功しました。これだけでも非常に大きな成果といえますが、Altairの複合領域的アプローチによる性能向上の余地はこれに留まりません。Mabe社はシミュレーションの詳細度と適用範囲をさらに広げ、シミュレーションのメリットを最大限に活用しました。

Mabe社は、縦型洗濯機への需要の高まりと設計要件の厳格化への対応策としてモーションダイナミクスシミュレーションに着目し、バランスリングとサスペンションシステムを含めた洗濯槽のモーションダイナミクスのシミュレーションを実行するために、Altair MotionSolve™を導入しました。まず行ったのは、すすぎ・脱水サイクル中の洗濯機の回転数の定義です。ここでは理想のモーターモデルを使用しました。そして、Altair HyperWorks™ Unitライセンスモデルを巧みに使いこなすMabe社は、次の段階でモーターモデルの理想的な設定を排除し、より一層現実に即したシミュレーションに取り掛かりました。そこで使用したのがAltair Activate™です。これには2つの狙いがありました。(1)ブロック図を基に詳細な1Dモーター制御モデルを作成することと、(2)Altair MotionSolveと連成させて複合領域的なシステムレベルシミュレーションを実行することです。

「Altairテクノロジーによって、洗濯機の継続的な性能向上と市場シェアの拡大を達成できています」
Víctor Gonzalez,
Director of Product Engineering, Mabe

「Altairテクノロジーは、広く深く応用できる点が大きな魅力です。コンサルティングエンジニアの専門知識も非常に助かります。この12年間、越えられない壁に直面したり、製品で致命的な欠陥が生じたりしたことは一度もありません。シミュレーション機能の拡張が必要になったときには、いつでもAltairのスタッフが力になってくれます」
Martin Ortega, PhD,
Senior Engineer, Mabe

目覚ましい成果

Mabe社がAltair MotionSolveを導入したのは、荷重や、モーターのトルクおよび出力とは無関係に、洗濯槽を理想の速度で回転させるシミュレーションを実行するためです。目標は、洗濯槽の揺れや振動を引き起こし、洗濯機の位置ずれの原因となるバランス不良を検証することでした。バランスが崩れるのは、水を吸って重くなった洗濯物が洗濯槽の片側に寄るためです。

洗濯機には通常、そうした洗濯物の偏りを補正するためのバランスリングが必要ですが、質量と取り付け位置によってバランスリングの動的特性は変化します。Mabe社は最高の性能を実現するために、バランスリングの寸法、質量、位置を様々に組み合わせたパラメトリックスタディを利用してシミュレーションを実行しました。

最後にMabe社は、サスペンションシステムのスプリングに関連したモーションダイナミクスのモデル化に取り掛かりました。洗濯機のサスペンションは車のサスペンションに似た部品で、すすぎや脱水のサイクルを通じて増減する洗濯物の荷重を補正する役割があります。

洗濯槽では正確に所定のRPMで回転するようにモーターのトルクを瞬時に変化させることが必要となります。そのニーズに応えるのが、Altair Activateのような最新のシステムシミュレーションテクノロジーです。モーターのトルクは通常、特定の回転速度を維持するためにわずかに増減しますが、洗濯サイクルの場合は、すすぎや脱水などに移行するのに合わせて動的に変化させなければなりません。事実、洗濯機のモーターの回転速度は、1回の洗濯の中で何度も上下させる必要があります。

Altair Activateを用いた連成シミュレーションアプローチでは、詳細なモーター制御とモーションダイナミクスを連動させることで、モーターと洗濯機の理想的な相互作用ではなく、より現実に近いシミュレーションを実行できます。

将来を見据えて

Altairテクノロジーの使用を拡大する流れの中で、Martin氏をはじめとするMabe社のエンジニアは、洗濯サイクル中のオーバーヒートのリスクを最小限に抑えたり、低周波電磁界の理解を深めたりすることを目指して、Altair Flux™を用いた詳細なモーター熱解析にも着手しました。今後は、モノのインターネット(IoT)に関連した開発プロジェクトも順次行っていく予定です。2017年に中南米で市場シェアトップを獲得することに成功したMabe社は、現在、国際市場でのシェア拡大を狙っています。

Mabe社はAltairシミュレーションテクノロジーの使用範囲を広げることで、製品価値を順調に向上させています

About Mabe

1946年に設立されたMabe社は、メキシコに本社を置く国際的な家電製品メーカーです。洗濯機、ドライヤー、調理用コンロ、冷蔵庫、空調機器、電子レンジなどの多様な家電製品の設計、製造、流通を手がけています。Mabe社のSenior EngineerのMartin Ortega博士によれば、同社は製品の性能向上と開発の加速を目指して、2006年以降Altairテクノロジーの使用範囲を年々拡大させてきました。

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