京都大学

  • スーパーコンピューター世界トップ100に入る性能
  • 先進的なワークロード管理
  • 多様な研究者が利用可能

日本の研究環境を支える京都大学のHPCリソース

顧客概要

京都大学は、日本最大級の規模を誇る最高学府の1つであり、150年以上にわたって国内外に重要な学術研究資源を提供してきた歴史があります。その京都大学の学術情報メディアセンター(ACCMS)は日本全国の研究者にハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ツールを提供しており、2019年に京都大学大型計算機センターの設立50周年を迎えました。

課題

データ量が幾何級数的に増加し、計算資源の需要が高まるなかで、HPCも絶えず進化を続けており、京都大学のACCMSもそれに合わせて進化する必要に迫られていました。ACCMSがHPC基盤の強化のために導入したのは、Hewlett Packard Enterprise社傘下のCray社が製造する3基のスーパーコンピューターシステムです。これらのシステムのワークロード管理は、Altair PBS Works™製品群の1つであるPBS Professional™が担っています。

ACCMSの責任者の1人である中島浩教授(工学博士)は、HPCリソースの調達とHPCの効率的効果的な運用を統括しています。

「当センターのHPCリソースのユーザーは多様で、計算プロジェクトの性質も、必要なリソースの量も千差万別です。今回の調達では、当センターの独自のポリシーに従ってワークロードとリソースを管理できることなどを重視しましたが、その点においてPBS Professionalは優れたソリューションです」と中島教授は語ります。

Altairのソリューション

京都大学は、Cray社のCray® XC™“Camphor 2”スーパーコンピューターと2基のCray® CS™システム、“Laurel 2”と“Cinnamon 2”を設置して、スーパーコンピューター設備を強化しました。これら3つすべてのシステムにはPBS Professionalに加え、Cray® DataWarp™アプリケーションI/Oアクセラレーターが追加されており、DataWarpにはAltairによって透過キャッシュモードが統合されています。Camphor 2にはCray社が設計したAries™インターコネクトが搭載され、ピークパフォーマンスは5ペタフロップスを超えます。

このソリューションの肝はカスタマイズとカスタム開発であり、Altairはカスタムコーディングによってサービス品質保証(SLA)を達成し、スーパーコンピューティングシステムの設置後には、スケジューラーと連携してジョブの最適な実行タイミングと実行場所を決定するノードアロケーターを開発しました。

「PBS Professionalのカスタマイズ性の高さは、クラスタ管理の生産性を高めるうえで大きな鍵となりました」
京都大学 学術情報メディアセンター
中島 浩 教授

京都大学のスーパーコンピューティングエコシステムは様々なワークロードに対応することを目的としていますが、その多くはメモリを大量に消費する演算や、高度に並列化されたベクトル化コードを伴います。そうしたきわめて複雑で要求レベルの高いHPCワークロードであっても、PBS Professionalなら、ジョブのスケジューリングと管理を効率よく実行することができます。また、計算リソースを効率的に管理することで、電力コストを低く抑えることが可能です。

結果

京都大学は次のステップとして、機械学習をはじめ、さらに広い分野に対応できる新しいハイパフォーマンスシステムによって計算能力を強化することを目指しています。そのために、コンテナや電力効率に優れたリソース割り当てなどの高度なテクノロジーを利用していく予定です。

最先端のCray社製コンピューティングアーキテクチャーと、Altairの最新のワークロード管理テクノロジーを導入したことにより、京都大学は今後何年にもわたって学内外に堅牢なHPCリソースを提供することが可能になりました。