DanaのSimLabによるパワートレインモデルの自動メッシング

  • 事前処理に要する時間を劇的に削減
  • 大規模なモデルではるかに優れた収束性を実現

顧客プロファイル

Dana Holding Corporationは、乗用車、商用車およびオフハイフェイ車両の燃費の改善、排気ガスの削減、所有コストの低減を実現するためのドライブライン、シールおよび熱管理技術における世界的リーダーです。Danaは27カ国で事業展開し、25,000名の従業員を抱え、エンジニアリング、製造および物流に約90施設のネットワークを形成しています。

パワートレイン部品のコンピューターシミュレーション(25,000を超えるサーフェスを有する大規模なモデルの作成が必要)は、長期間にわたり、Danaの製品開発プロセスの重要な部分を占めてきました。

同社のエンジニアは、長年にわたり、CADデザインからプロトタイプを作成し、プロトタイプを解析して破壊部位を観察し、さらにプロトタイプを再設計して製品が仕様を満たすようになるまで再検査を続けるという、業界標準の手法を採用してきました。

チャレンジ: 最初から適切な設計

プロトタイプ / シミュレーション / 設計変更の方法を取ることによって、最終的に質の高い部品が生産できる一方で、一連のプロセスには非常に時間がかかるため、コストの増大につながっていました。例えば、米国イリノイ州ライルのDana Power Technologies Groupがシリンダーヘッドおよびエンジンブロックのモデルの事前処理を行う場合、形状をCADからインポートしてから、エンジニアがクリーンアップする必要がありました。これは時には面倒な作業を伴いました。その結果として、モデルのメッシュを完成するまでに1~4日かかる場合がありました。

数年前、Danaの製品開発チームは、プロトタイプを作成する前に、“first-time-right(最初から適切な)”設計手法を実装することを決定しました。この変更により、全体的な設計サイクルが高速化されると考えられました。その中核として、このプロセスではシミュレーションモデルをより速く事前処理する方法が求められていました。

「SimLabを使用することで事前処理の時間が大幅に短縮され、同じ作業をするのに、最大4日かかっていたのが、4時間で済むようになりました」
Rohit Ramkumar Manager, CAE Group Dana Corporation

ソリューション: SimLabを使用したメッシングの自動化

CAEのGroup ManagerであるRohit Ramkumar氏は、Danaの自動車製造メーカーの顧客の1社からSimLabについて聞き、Altairでデモを確認した上で、試用ライセンスを入手しました。さらに、Ramkumar氏の同僚で、DanaのSenior CAE AnalystであるMarsha Minkov氏は、SimLabの開発者の1人と一緒に半日がかりの作業を行いました。この2人は、他の方法と比較した場合のSimLabの能力の長所と短所についての評価を実施しました。SimLabを採用した場合、時間を節減できることが非常に明白になったため、彼らは速やかにSimLabをモデリングプロセスへ統合しました。

従来のツールは、CADからシミュレーションモデルをインポートした後、大掛かりなクリーンアップ作業を頻繁に必要としていました。Ramkumar氏によれば、SimLabの最大の利点は、ネイティブ形状が使用されることにある、ということです。

「これは非常に大きな一歩です」と、Ramkumar氏は述べています。「SimLabを使用した場合、変換されたCAD形状を使って作業する代わりに、ネイティブ形状が読み込まれます。SimLabは自動的に、素早く形状のクリーニングを実行します。その結果、SimLabにおける事前処理の時間が大幅に短縮されました。同じ作業をするのに、最大4日かかっていたのが、4時間で済むようになりました。SimLabが、メッシングを自動的に実行してくれるからです」。

SimLabにより、実際に多くの事前処理手順が自動化されました。ユーザーの操作をほとんど必要とせずに、ソフトウェアによってCADシステムからのネイティブ形状のインポート、メッシング、サーフェスとノードセットの作成、およびコンタクトペアの作成を実行します。

AltairはDanaと密接な共同作業を行い、SimLabをプロセスに統合しました。まず、AltairはSimLabがどのようにDanaのモデリングにかかる時間を短縮できるかをデモで示しました。次に、DanaがSimLabの機能を試すことができるように、Altairはトレーニングを提供しました。DanaがSimLabを導入して以来、Altairは電話と電子メール通じて絶え間なく製品開発チームをサポートし、DANAプロセスの手順を作成しました。

さらに、AltairはDanaとの共同作業により、Danaのエンジニアがあらゆる場所ですべてのエンジンモデルおよびその他のコンポーネントに使用できる設定のグループを明確に定義したテンプレートを作成しました。これらのテンプレートを使用してメッシングを実行するエンジニアは、同じ属性で同様のメッシュを得られるようになりました。事前処理機能に加えて、Danaは、SimLabが使いやすく柔軟性があると感じました。さらにSimLabは、ボア変形のプロットや(異種のメッシュからの)温度結果のマッピングなど、貴重な後処理機能も提供しています。

Danaでは、プロトタイプの作成に先がけ常にバーチャルシミュレーションが実施される

このプラスチック製のバルブカバーのような複雑なコンポーネントもSimLab なら素早く簡単にメッシュ生成が可能

SimLabはメッシュ生成にネイティブのCAD形状を使用

SimLabによるメッシングの自動化で、より正確な結果の生成と時間短縮を実現

結果: より優れたメッシングにより、製品の品質が向上

SimLabにより、数日間かかっていた事前処理作業を数時間にまで短縮できたことにより、Danaは一度で適切なプロセスを実装し、継続的に改善することができるようになりました。現在、Danaの製品ラインの多くは、製品の100%でCAD-解析-プロトタイプ方式を採用しており、その他のラインでも、85~90%の製品で同じ方式を採用しています。

SimLabを採用する以前は、Danaは設定の記録とメッシングの結果を文書に保存していました。現在では、SimLabテンプレートによって、Danaは世界中の施設と、時間節減を実現するシミュレーション手順を共有できるようになりました。

「当社では、他のDana研究開発センターでのメッシュ管理のために、テンプレートを実装し、すべての場所で同じテンプレートを使用できるようになりました」と、Ramkumar氏は述べています。「今後は、メッシングプロセス全体を、数回のマウスクリックだけで実行できるように自動化することを目指していきます」。

Ramkumar氏によれば、SimLabによって解析プロセスを高品質のメッシュで開始できるようになったため、より大規模なモデルではるかに優れた収束性を実現することができるようになった、ということです。「当社では、解析を実行するために、角を切り落したり操作したりする必要はありません」と、Ramkumar氏は述べています。「したがって、当社では全体的により優れた解析を実行でき、最終的には性能の優れた製品を作ることができるのです」。

About DanaのSimLabによるパワートレインモデルの自動メッシング

Dana Holding Corporationは、乗用車、商用車およびオフハイフェイ車両の燃費の改善、排気ガスの削減、所有コストの低減を実現するためのドライブライン、シールおよび熱管理技術における世界的リーダーです。Danaは27カ国で事業展開し、25,000名の従業員を抱え、エンジニアリング、製造および物流に約90施設のネットワークを形成しています。